「せっかく採用した新入社員が、数か月で辞めてしまった…」
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。近年は若手社員の価値観やキャリア観が多様化し、従来型の教育・フォローでは定着を図るのが難しくなっています。新入社員の定着率を高めるには、早期の不安や孤立を防ぎ、安心して成長できる環境を整えることが不可欠です。本記事では、定着率向上につながる7つの具体的な施策と、その実践方法についてわかりやすく解説します。

なぜ新入社員は早期に離職してしまうのか?
新入社員の早期離職の背景には、企業と本人との「期待のズレ」や「職場への不安感」など、さまざまな要因が潜んでいます。主な原因は以下の通りです。
1. 仕事内容や職場環境がイメージと違った
面接時や入社前の説明と、実際の業務内容や人間関係にギャップを感じたことが離職のきっかけになるケースは非常に多いです。
2. 教育・サポート体制が不十分
「放置されている」「質問できる人がいない」といった状況では、新入社員は不安を抱えやすく、孤独感から離職に至ることもあります。
3. 将来のキャリアが見えない
「この会社で自分はどう成長していけるのか」が不透明だと、入社後のモチベーションが維持できません。
4. 社内のコミュニケーション不足
上司や同期との信頼関係が築けないまま、業務に追われてしまうと、職場が「居場所」と感じられず、定着に結びつきません。
新入社員の定着率を高める7つの施策とは?

新入社員の離職を防ぎ、長く活躍してもらうためには、入社直後から丁寧なフォロー体制を整えることが不可欠です。ここでは、実践的かつ効果の高い7つの施策をご紹介します。
1. オンボーディングの仕組みを整える
オンボーディングとは、新入社員が組織や業務にスムーズに馴染めるよう支援するプロセスです。入社から数か月間にわたり、段階的に業務や社内文化を理解してもらう仕組みを構築することで、不安の軽減と定着促進につながります。
2. メンター制度の導入
配属先の先輩社員がメンターとして新入社員をサポートする制度です。業務面の質問はもちろん、悩み相談や日常的な声かけを通じて、心理的な支えとなります。上司とは異なる“安心して話せる存在”の存在が重要です。
3. 定期的な1on1面談の実施
新入社員の状況を早期に把握し、適切にサポートするためには、定期的な1対1の面談が欠かせません。業務の振り返りだけでなく、「今の気持ち」や「人間関係」なども丁寧にヒアリングしましょう。
4. チームビルディングの導入
同期同士のつながりを深めることで、配属後も相談し合える関係を築けます。チームでの課題解決やグループワークを通じて「一緒に頑張れる仲間」ができると、離職の抑止力になります。
5. キャリアパスを可視化する
「この先、自分はどう成長できるのか」を具体的に示すことで、将来への期待とやる気を引き出せます。キャリアマップやロールモデルの紹介などが効果的です。
6. 上司・管理職向けの育成研修を実施
新入社員の定着には、直属の上司の影響が大きく関与します。適切な指導法やフィードバックのスキルを上司が身につけることで、職場全体の受け入れ体制が強化されます。
7. 入社3か月・半年後のフォローアップ研修
配属後の「つまずき」や「モヤモヤ」を解消する場として、定期的なフォローアップ研修を設けましょう。同じタイミングで入社した社員同士の再会の場にもなり、再びモチベーションを高める機会となります。

定着率向上の成果を出している企業の事例紹介

実際に新入社員の定着率向上に成功している企業は、各社工夫を凝らしながら、早期離職の防止に取り組んでいます。ここでは、具体的な施策とその成果をご紹介します。
事例①:オンボーディングプログラムで定着率95%超(IT企業A社)
A社では、新入社員一人ひとりに対して「30日・60日・90日プラン」を策定し、段階的に業務と社内文化に慣れてもらうプログラムを導入。週1回のメンタリングと月1回の1on1面談をセットにしたことで、配属後も安心して働ける環境を整備。結果、3年間の新卒社員の定着率が95%以上を維持しています。
事例②:キャリアパス可視化で若手の離職率を半減(製造業B社)
B社では、入社初期からキャリアマップを提示し、ロールモデルとなる先輩社員のインタビュー動画を社内共有。自分の未来を描けることで、早期離職が前年から半減。加えて上司によるキャリア面談も実施し、会社としての「成長支援姿勢」が伝わることで社員のエンゲージメントも向上。
事例③:同期とのつながりが離職防止の鍵に(流通業C社)
新入社員研修にチームビルディングを導入し、配属後も定期的に「同期ミーティング」を開催しているC社。社内のどこかに相談できる人がいるという安心感が、離職の抑止力に。実施後、3か月以内の離職率が20%から5%に改善。
新入社員定着の鍵は「育成環境の見直し」にあり
新入社員が定着するかどうかは、本人の資質だけでなく、企業側の育成環境に大きく左右されます。「採用して終わり」ではなく、「育てて活躍してもらう」ための環境整備が必要です。
■ 主な見直しポイント
- 育成方針が現場で共有されているか
→ 上司や現場メンバーも「新入社員を育てる意識」を持っているかがカギ - サポート体制が形式だけになっていないか
→ メンターや面談の形骸化を防ぎ、実質的なサポートにする工夫が必要 - 人事・教育部門と現場の連携が取れているか
→ 研修と配属後のOJTがバラバラでは、育成効果が薄れる
企業全体で新入社員の育成に取り組む体制こそが、真の定着支援といえるでしょう。
まとめ
新入社員の定着率を高めるためには、入社直後からの丁寧なフォローと、安心して働ける環境づくりが不可欠です。オンボーディング、メンター制度、キャリア支援、チームビルディングなど、複数の施策を組み合わせることで、社員の不安を和らげ、成長意欲を引き出すことができます。
また、育成を現場任せにせず、企業全体で支える仕組みを整えることが、持続的な人材定着につながります。採用した人材が「辞めない」「育つ」「活躍する」企業文化を築いていきましょう。
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