ビジネスにおいて、コミュニケーション不足がもたらす影響は少なくありません。社内はもちろん、社外でコミュニケ―ション不足が起きれば、企業経営が悪化してしまう可能性も高まってしまうでしょう。
本記事では、コミュニケーション不足が引き起こす悪影響を見た上で、改善するための施策や円滑なコミュニケーションがもたらす効果についてお伝えします。社内外でのコミュニケーションに課題を感じている経営者や管理職の方はぜひ、参考にしてください。
1. コミュニケーション不足が引き起こす5つの悪影響
コミュニケーション不足が引き起こす主な悪影響としては、次の5点が挙げられます。
1.1 顧客との信頼関係構築の困難
顧客とのコミュニケーションが不足していると、信頼関係を構築することもできず、顧客が持つニーズを把握することもできません。
例えば、BtoB企業において、資料請求をしただけの関係性でいきなり商品を売り込んでも商談化できる可能性は限りなくゼロに近くなってしまうでしょう。なぜなら顧客は自社の商品に興味があることはわかっても、何を課題にしているかはわかりません。
そのため、コミュニケーションをしっかりと取り、顧客が持つ真のニーズや課題を把握しなければ、的確な提案は困難です。
また、コミュニケーションを取っていたとしても表面的な挨拶程度であれば、次第に関係性も希薄になり、長期的には顧客ロイヤリティの低下につながってしまうでしょう。
1.2 営業チーム内の連携不足
社内においても、コミュニケーション不足で情報共有ができていないと、重要な営業機会の逸失や重複作業による非効率化を招きます。
例えば、定期的なミーティングが形骸化していて、現状報告さえできていない状況になれば、当然、上述したようなケースに陥ってしまうでしょう。
また、チーム内で互いの状況を把握できていないと、チームとしての一体感もなくなり、個人主義的な行動の助長につながります。その結果、誰もサポートしてくれない、誰も情報共有をしてくれないとなっていき、組織力は低下してしまうでしょう。
1.3 商品知識や市場動向の理解不足
社内そして取引先や関連会社とのコミュニケーション不足は、新商品の知識や市場動向の理解不足にもつながります。自社の新商品の強み、セールスポイントを把握できていない、取引先や関連会社の状況もわからず、市場動向も見えない状況では、競争力の低下は明らかです。
また、自社商品知識や市場動向がわからなければ、顧客のニーズに合った商品提案もできません。自社商品の適切なアピールもできない企業から商品を購入したいと思わず、次第に成約率も低下してしまうでしょう。
1.4 社内リソースの活用不足
企業として成果を上げるには、一部署、一チームだけでは難しく、営業部門、製造部門、マーケティング部門などが連携することが重要です。しかし、部署間でのコミュニケーションが不足していればそれもかないません。その結果、潜在的な営業機会の発見や既存・見込顧客へのcross-sellingの機会損失を招いてしまいます。
また、営業部門が商品を販売するにはマーケティング部門が提供する情報の質や量が欠かせません。しかし、コミュニケーション不足の状況が続けば適切なサポートも得られず、営業効率の悪化につながってしまうでしょう。
1.5 モチベーションの低下と離職率の上昇
コミュニケーション不足は、企業全体の効率悪化につながるだけではなく、社員個々の孤立感を高めてしまう可能性もあります。自身にだけ情報を共有してもらえないのではといった強迫観念が生まれれば、仕事への意欲や生産性も低下してしまうでしょう。
上司からのフィードバックもない、同僚からの情報共有もないとなれば、自身のキャリアパスの不透明さを招き、離職につながるケースも少なくありません。
2. コミュニケーション改善のための5つの具体策
さまざまな悪影響を及ぼすコミュニケーション不足を改善するには、次の5つの施策が効果を発揮します。
2.1 コミュニケーションスキル向上研修の実施
コミュニケーション不足の改善策としてもっとも重要な施策として上げられるのが、コミュニケーションスキル向上研修の実施です。
すでに社内外でのコミュニケーションが不足している企業は、社内だけでの改善策ではなく、外部の研修に参加した方が高い効果が期待できます。
まず、社内外のコミュニケーション不足が続くことの問題点やどのような課題が生まれるかを外部講師による研修で理解することが早期の改善につながるでしょう。
2.2 定期的な1on1ミーティングの実施
社内コミュニケーション不足を改善するには、まず、社員一人ひとりの思いや課題点を把握する必要があります。そこで効果を発揮するのが上司と部下による1on1ミーティングです。
効果的な実施のポイントは、定期的に実施して前回と変わった点、改善された点を確認すること、プライバシーを確保して行うことなどが挙げられます。また、上司は基本的には傾聴に徹すること、前回との改善点において具体的なフィードバックをすること、今後の行動計画策定なども重要です。
2.3 社内SNSやチャットツールの活用
社内SNSやチャットツールの活用もコミュニケーション不足の改善策としておすすめです。部署間を横断してリアルタイムでコミュニケーションが行えるため、改善策として高い効果が期待できます。
ただ、コミュニケーション不足の企業がツールを導入するだけでは誰も使わないまま形骸化してしまうケースも少なくありません。
社内SNSやチャットツールを使ってコミュニケーションを活性化させるポイントは、上司が積極的に活用すること、基本的にはオープンな状況で利用すること、業務に関係のない雑談を行うチャンネルを設置することです。
2.4 営業チーム内での成功事例共有会の開催
これまでコミュニケーションが上手くいってなかった企業でいきなり活性化させようとしても無理があります。そこで、まずは成功事例を共有する会を開催してみましょう。
最初から失敗事例を共有するのはハードルが高いため、まずは話しやすい成功事例を共有し、互いを理解するようにします。コミュニケーションが増えるだけではなく、成功体験の共有により、チーム全体のスキルアップ効果も可能です。
開催のタイミングは、定期ミーティングの最後や朝礼の最初など、参加者が持ち回りで司会を務めて進めていくのがよいでしょう。
3. コミュニケーション改善がもたらす営業成果
コミュニケーション不足が改善されれば、さまざまな営業成果につながります。ここではそのなかでも高い効果が期待できる「顧客満足度向上」「生産性向上」「新規獲得率改善」の3点について見ていきましょう。
3.1 顧客満足度の向上
顧客と対面もしくはオンライン上でしっかりと向き合い、コミュニケーションを重ねることで、顧客ニーズの的確な把握と対応が可能になります。顧客の課題点や現状の商品に対する不満点を把握できれば、顧客が求める商品開発も実現し、顧客満足度向上も可能です。
具体的には、BtoB企業で資料請求をしてきた顧客に対し、すぐに商品を勧めずにまずは市場動向を提供し、その上で顧客の課題点を確認します。課題点も表面的なものではなく、対話を重ねるなかで深堀りをしていき、最終的な解決策として自社商品を紹介することで、顧客満足度の向上も期待できるようになるでしょう。
3.2 チーム全体の生産性アップ
社内コミュニケーションにおいては、改善策の実施により情報共有の円滑化、チームワークの強化が可能です。
情報共有が円滑になれば、顧客が求める情報をスムーズに提示できるようになります。また、チームワークの強化により、迅速かつ適切なサポート体制が構築されるため、営業部門全体の生産性向上に大きく貢献できるようになるでしょう。
3.3 新規獲得率の改善
新規顧客を獲得するには、認知、興味関心の段階を経た上で、資料請求や商談化につなげていく必要があります。そのため、営業部門だけではなく、マーケティング部門の協力を得て、見込み顧客の獲得を実現しなくてはなりません。
営業部門だけで新規顧客獲得を目指した場合、見込み顧客の存在がわからないため、より多くの潜在顧客に対するアプローチが必要です。しかし、マーケティング部門とコミュニケーションを円滑に進めれば、見込み顧客の情報を入手でき、効率的な営業活動が実現します。
その結果、新規顧客の獲得率向上も可能になるでしょう。
4. まとめ
ビジネスにおいて、社内外のコミュニケーション不足はさまざまな悪影響を引き起こします。そのため、少しでもコミュニケーション不足の兆候を感じたらできるだけ早い段階で改善策の実施が必要です。
主な改善策としては、情報共有ツールの活用、1on1ミーティングの実施などが挙げられますが、それ以上に重要な改善策がコミュニケーションスキル向上研修の実施です。
コミュニケーション不足が顕在化してしまった状況では、社内で行う改善策だけでは解決は困難です。そこで、外部の専門家による研修を行うことで、客観的な指導を受けることが早期の改善につながります。
現在、コミュニケーション不足にお悩みの際は、まずコミュニケーションスキル向上研修を受講されてみてはいかがでしょう。