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組織強化

人材定着のための5つの戦略を徹底解説!人材定着の重要性も紹介

人材を定着させるための戦略としては、「人材定着の現状把握」「採用段階からの人材定着戦略」「オンボーディングプログラムの充実」「公平な評価・報酬制度の構築」「働きやすい職場環境の整備」の5つがあります。

本記事では、中小企業における人材定着の重要性について解説したうえで、5つの戦略の詳細をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 1. 中小企業における人材定着の重要性

中小企業にとって、人材の定着は重要な課題です。以下、人材の流出が企業に与える影響を説明したうえで、中小企業特有の課題をご紹介します。

1.1 人材流出が企業に与える影響

採用した人材が流出してしまうと、採用コスト(求人広告の出稿費用、就職説明会の開催費用など)が無駄になってしまいます。そして、流出した人材の穴埋めをするために、新たに採用活動を実施しなければならず、コストが増大することにご留意ください。

また、教育・訓練を実施した人材が離職してしまうと、「業務効率が低下する」というデメリットも被ります。企業は、人材が定着するように、さまざまな施策を講じなければいけません。

1.2 中小企業特有の人材定着の課題

中小企業の場合、一般的に大企業よりも給与水準が低く福利厚生も充実していない傾向があります。また、成長機会も限定されているのが実情です。

そのため、より良い待遇や成長機会を求めて、人材が流出しやすい状況にあります。

2. 戦略①:人材定着の現状把握

ここからは、人材を定着させるための戦略について説明します。まずは、現状の把握からはじめましょう。

2.1 離職率の算出方法

以下は、離職率(常用労働者数に対する離職者数の割合)の計算式です。

離職率=(離職者数÷1月1日現在の常用労働者数)×100(%)

離職率を正確に計算したうえで、業界平均と比較し、自社がどのような状況に置かれているのか(他社に比べて従業員が定着しにくい会社なのか、定着しやすい会社なのか)を把握しましょう

2.2 退職理由の分析

経営者側が「これが退職した原因だろう」と考えていても、別の原因で退職している可能性もあります。真の退職理由を分析するために、退職者へのヒアリングを実施しましょう。また、退職届に記載されている内容を分析することも大切です。

正確に退職理由を把握しておかなければ、定着率を向上させるための有効な施策は打ち出せません。

2.3 在籍期間別の傾向

入社後の経過年数ごとの離職傾向を分析し、重点的に対策を講じるべき時期を特定することも重要です。

例えば、3年以内に離職する人材が多いことが判明した場合は、採用から3年間、メンターを付けてサポートを実施するなど、定着を促すための取り組みを実施しましょう。

3. 戦略②:採用段階からの人材定着戦略

採用した後から開始するのではなく、採用段階から人材定着を見据えた取り組みを開始しましょう。

3.1 ジョブマッチングの重要性

新卒者の採用現場では「コミュニケーション能力」「問題解決力」といった基礎的能力に基づいて選考が実施される傾向があります。

しかし、「採用後の定着」という観点からは、基礎的能力だけに基づいて判断するのではなく、「求職者の適性」「職務内容」のマッチングを重視して採用プロセスを設計するべきです。

3.2 企業文化との適合性評価

「応募者が、自社の価値観・文化に適合できるかどうか(カルチャーフィット)」に関して、採用段階で評価するべきです。

具体的には、従業員と応募者の双方に、心理学に基づいた設問に回答してもらったうえで、機械学習のテクノロジーを用いてマッチングスコアを算出する方法などで、評価を実施しましょう。また、人事部門が決めるのではなく、現場のリーダーが面接に参加し、チームに適合できるかどうかを判断することもご検討ください。

3.3 入社後のギャップ防止策

せっかく採用しても、入社後に「イメージと違っていた」と感じ、早期離職に至るケースがあります。

「入社前のイメージ」「入社後に直面する現実」とのギャップを生じさせないために、ハローワークや大学の就職担当部署などと連携し、職場見学や先輩社員と交流する機会を設けましょう。

4. 戦略③:オンボーディングプログラムの充実

人材の早期離職を防止するために、オンボーディングプログラムを充実させましょう。なお、オンボーディングとは、職場全体で新入社員を育成し、定着させるプロセス(新入社員が会社という組織になじみ、1人前になるプロセス)です。

4.1 効果的な新入社員研修 

「業務スキルの習得」だけでなく「企業文化の理解」も深めることが可能な「包括的な新入社員研修プログラム」を設計しましょう。例えば、会社の歴史や社会的使命・経営理念を学ぶ機会を設けてください。

また、フォロワーシップ研修を実施すれば、新入社員が「会社が求める社員のあり方」を知ることができます。「リーダーの意思決定・行動に誤りがあると感じた場合に、チームの成果を最大化させるために、どのように対応するべきなのか」に関する指針を把握でき、スムーズに組織の一員として活躍できるようになるでしょう。

4.2 メンター制度の導入

新入社員の不安解消および早期戦力化を目的として、メンター制度も導入しましょう。

なお、業務に関して指示・命令し、評価を実施する「直属の上司・先輩」に対しては、新入社員が素直に心情を吐露できません。そのため、異なる職場の先輩社員をメンター役にしてください。

4.3 早期からのキャリアパス提示

入社時点から将来のキャリアパスを示し、長期的な成長ビジョンを共有することが、人材を定着させるうえで重要です。

具体的には、集合研修やキャリアコンサルティング面談を実施し、将来のイメージを描けるようにしましょう。

5. 戦略④:公平な評価・報酬制度の構築

人材を定着させるためには、公平な評価・報酬制度を構築しなければいけません。

5.1 透明性の高い評価システム

不公平な評価制度に基づいて報酬が決められてしまうと、不満が蓄積し、早期退職に結びつく可能性があります。

大切なのは、評価プロセスをブラックボックス化せず、どのような項目に関して、どのような基準で評価が実施されるのかを、あらかじめ明確かつ具体的に示すことです。そのためには、事前に評価をする側(上司など)に対する研修や説明会を実施し、客観的な評価の重要性を認識してもらうことが欠かせません。

従業員に評価結果をフィードバックすることも重要です。会社として何を期待しているのか、どのような行動を会社が評価しているのかを、評価者である上司が伝えれば、従業員が納得しやすいでしょう。

5.2 成果に応じた報酬制度

報酬制度は、個人やチームの成果を適切に反映するように設計してください。

なお、「結果」だけではなく、「プロセス」も評価するように設計することが大切です。例えば、営業職であれば、新規訪問件数など、長期的に自社の売上につながる要素も評価項目に加えましょう。

5.3 非金銭的報酬の活用

企業によっては、予算の制約により、大幅な報酬アップに踏み切れないケースがあるかもしれません。その場合は、表彰制度や特別休暇など、金銭以外の報酬を活用することもご検討ください。

また、現物支給も選択肢のひとつです。例えば、良質な社員食堂を運営し、無料または格安で食事を提供すれば、従業員のモチベーションが向上し、定着率が高まるでしょう。

5.4 評価制度の構築を外部委託

ここまでに説明した内容を全て社内で完璧に実施することは、人事部が存在しない中小企業では難しいかもしれません。

社内で対応できない場合は、外部に委託することもご検討ください。昔から引き継がれてきた仕組みを継続していて、偏った評価になってしまわないか不安を感じるのであれば、人事のプロに評価制度の構築を依頼しましょう。

6. 戦略⑤:働きやすい職場環境の整備

働きやすい職場環境を整備することも、人材を定着させるうえで不可欠な要素です。

6.1 ワークライフバランスの推進

有給休暇取得を促進したり、残業を削減したりして、ワークライフバランスの推進に努めましょう。

なお、上司が率先して有休を取得したり、残業を削減したりすることが大切です。上司が先に動けば、部下も同様の行動をしやすくなります。

6.2 柔軟な勤務制度の導入

フレックスタイム制度リモートワークなど、多様な働き方を可能にする仕組みも導入しましょう。

なお、フレックスタイム制度を導入するためには、就業規則などへの規定、および、労使協定の締結が必要です。また、リモートワークを実施するためには、セキュリティ対策を充分に講じなければいけません。社内にITに詳しい人材がいない場合は、外部業者にシステムの構築を依頼してください。

6.3 オフィス環境の改善

従業員の生産性と満足度を高めるためには、オフィスレイアウトや設備を工夫しなければいけません。

「必要なときに、すぐに取り出せるか」「モノを運んだり、歩いたりする際に、ぶつからないか」といった点をチェックしながら机や什器などを配置しましょう。

7. まとめ

少子高齢化により、人材を獲得することが困難な時代が到来しました。貴重な人材を定着させるためには、「人材定着の現状把握」「採用段階からの人材定着戦略」「オンボーディングプログラムの充実」「公平な評価・報酬制度の構築」「働きやすい職場環境の整備」という5つの戦略が必要です。

「1度施策を実施したら、それで終わり」ではなく、PDCAサイクルを回して、施策の効果を定期的に検証し、施策を改善してください。PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の順にプロセスを繰り返すことで業務の改善や効率化を図る手法です。短期的な成果にとらわれずに、長期的な視点で人材定着に取り組みましょう。